サッポロの第三のビール新商品『ホワイトベルグ』に成功してほしい

お酒は好きで色々飲むんですが、発泡酒第三のビールにも日頃お世話になってます。

ビールは重たかったりクセが強かったりするのが好きなので、日本のビールはあんまり面白くありません。 腐りかけのザワークラウトと合わせるとうまいやつとか、それひとつで食事した気になれるやつとか、変態じみたのが多いのが楽しいので、基本が同じ考え方の日本のビールはおいしくてもつまらない。

発泡酒第三のビールは、酒税法かいくぐりながら、如何に日本のビールっぽいものを作るかが競われてきました。 麦汁にスピリッツ添加するか、エンドウ豆やコーンスターチなど他のでんぷん質を使うという、コストと麦芽100%のビールっぽさのバランス重視です。 それと、糖質0だとか、プリン体カットだとか、健康食品みたいな機能の競争。 飲んで楽しい変なやつだとか、少なくても常連が付くような、尖ったやつはほとんどありません。

日本的な「万人においしい」ビール勃興 → スーパードライ流行る → エビス信仰 → 発泡酒・第三が躍進 → 麦芽とホップだけが本物よ! → プレミアムモルツとか → 発泡酒・第三がさらに躍進 → 麦芽とホップだけが本物よ!

こういう妙な流れで、ビール純粋令が変な形で賛美されてたり、本物だ100%だプチ贅沢にエビスだプレモルだとなってしまったりだと、麦汁とホップの酒うまいじゃん!イチゴとか入れたり、醸しすぎてもうまいじゃん!っていう遊びがさらに減りそうで寂しいです。 他の酒に比べて、まあまあ短期間で好みをあれこれ添加できるビールなんだから、もっと緩く楽しめればいいのにと思います。

ほとんど発泡酒第三のビールしか飲んだ経験の無い層と、ビールに泡が無かったり氷入れると発狂する層に二極化しちゃうのは、どう考えてももったいない。 自分で胡椒とかクミンとかナンプラーとか垂らしたり、ぬる燗にしてみたり、水割りしてみたり、もっぺん発酵させてみたり、庭先のミント刻んで入れたり、炭酸抜ききってキンキンに冷やしたり、日本酒とちゃんぽんしたり、いっそ家にある酒全部と混ぜてみたり、色々楽しむから楽しいわけで、例えばそんな風に遊ぶ人間が増えたら、もっとぶっ飛んだ商品が市場に出てくるんじゃないでしょうか。 食い物で遊ぶなと言うけれど、おいしい遊びが無きゃ、市場で出回るのはいつまでたっても無難なものになってしまいます。

そういう状況で、サッポロが出した第三のビールの新商品が『ホワイトベルグ』。

ベルギーでホワイトで、コリアンダーオレンジピールということで、日本でも有名なヒューガルデン・ホワイトに似せたものです。 公式サイトにサッポロ自身も「ベルギーで愛されるホワイトビールに学び」と書いてますが、さすがによその商品名までは出せないもんでしょうか。

味は確かにヒューガルデン・ホワイトっぽさがあります。 そりゃ本家と比べられれば寂しいですが、値段考えれば大したもんで、一緒に飲んだ女性もなかなか気に入ってました。 苦味も重さも弱いので、日本のおいしいビール然としてないビールに触れ始めるとしたら、薦めやすい商品です。

廉価品とはいえ、大手がこうやってクセの強いものをそこそこ本気で出してくれるのは嬉しい。 酒税法逆手に取って混ぜ物ありきで考えれば、やっぱりこういう方向がもっと伸びていいはずです。 もしこの商品がある程度受け入れられれば、他社も色んなやつに似せた商品出してくるかもしれません。 そういった意味で成功してほしいですし、久々に楽しい第三のビールです。

いつか酵母臭くてどん詰まりのようなやつがコンビニにも並ぶといいなあ。