食品の自家製 : 道明寺粉と桜の葉の塩漬け
花見の季節になると、桜餅が食べたくなります。 桜餅には主に二種類ありますが、食べたいのは道明寺粉の方。 西の人間だからか、薄焼きの生地のものはどうも桜餅と思えません。
道明寺粉の桜餅は、道明寺粉、桜の葉の塩漬け、小豆餡、食紅あたりがあれば作れます。 材料があれば大して手間もかからず、艶やかな気分が味わえる大好きな菓子です。
小豆餡は、最高の味を求めればともかく、自家製そのものはそう珍しいものじゃないはず。 レシピも山ほどあるでしょうし、まともな和菓子屋ならどこでも必ずやってます。
食紅の自家製はまだ試していませんが、コチニールのような材料にこだわらなければ、代用となる色素含有材料はありそうです。 これはいずれ試そうと思います。
さて道明寺粉と桜の葉の塩漬け。
いかにも買ってきた方が早いこれらの食品を作った際の、覚え書きです。
道明寺粉
道明寺粉とはざっくり言えば、もち米の乾飯を砕いたものです。 一部のおはぎや、和食の蒸し物にも使いますが、何より桜餅が有名です。
「もち米の乾飯を砕いたもの」と書いたように、作り方はそのままです。 流れとしては以下の通り。
- もち米を水に漬けて吸水させる
- 芯まで吸水したもち米を蒸す
- 蒸し上がったもち米を完全に乾燥させる
- 乾燥したもち米を粗く砕く
ポイントらしいポイントはありませんが、そこそこ時間はかかります。
吸水に一晩、蒸しに10~30分、乾燥に1~2日、そして砕くのは手作業だと1時間。 乾燥に扇風機や暖房、除湿機を使い、砕くのにミルサーや石臼を使えば、ある程度短縮は可能ですが、桜餅を作るその日にいざ、というのはなかなか難しい。
一度作ればかなり長期間日持ちしますし(1年は余裕でした)、白身魚の桜蒸しなんて料理にも使えます。 ある程度の量を仕込んでおいた方が、桜餅作りに専念できます。
保存する場合は吸湿性が良いので、何らかの除湿剤を使った方が良いです。 湿気があまりに多いと、カビて台無しになります。 多少湿気てしまったら、もう一度しっかり乾かしてください。 かるく乾煎りまですれば万全ですが、火が強いと香ばしくなってしまいます。
桜の葉の塩漬け
これも単純な食材で、桜の葉を塩漬けにするだけです。 失敗もしにくい。
但し、一般的に桜の葉の塩漬けの材料となるオオシマザクラは、なかなか手に入らないかも知れません。 オオシマザクラの葉は柔らかいので食用向きらしいですが、一番手軽なソメイヨシノでも、主たる目的であるあの独特の香りは充分出せます。
手順は以下の通り。
- 大きくなり過ぎる前の桜の葉を用意する
- 葉を水洗いし、傷んだ部分などは捨てる
- 熱湯をかけるか、さっと湯がく、あるいはさっと蒸す(しんなりすれば充分)
- 熱を通した葉を水で冷ます
- 塩1:水1~2程度の塩水を作る
- 葉を保存容器に並べ、塩水を注ぐ 1.1~2日したら漬け上がり
ポイントらしいポイントも無いですが、葉はなるべく柔らかいものが良いです。 特にソメイヨシノでは大きくなってしまった葉は硬くて食べにくすぎるので、香り付け兼飾りに留めた方が良いかも。
わざわざ桜の葉を食べるのは香りのためですが、その主成分であるクマリンは、結構簡単に香ってくれます。 下の工程にある熱を通すだけでも、あの香りが立ち上ってきます。
保存の際は、塩水から取り出した方が良いです。 水気が多いと徐々に葉が崩れ、最後は液状化してしまうかも知れません。 水気を切って(ただしある程度塩気は残る必要あり)冷蔵しておけば、1年は充分もちます。